1 ) 例会・読書会開催の報告
新型コロナウィルスの影響により、半年以上も空いてしまいましたが、2020年7月4日(土)に例会・読書会を開催しました。
研究会の冒頭で、モラエスが「スペイン風邪」について書いていることが話題になりました。「スペイン風邪」は、1918年から3年間、世界中で猛威をふるったインフルエンザです。モラエスは、著作『おヨネとコハル』の中の「久松は家にいません」という作品の中で、これを大題材にして、大勢の人が亡くなった悲惨な状況を記すとともに、感染防除のために「久松留守」と記されたお札を玄関に掲げることが行われていたことを紹介しています。この風習は、江戸時代の有名なお染・久松の心中事件に由来しています。流行病はお染の亡霊が久松を探して市中をさまようことによって人々に伝染するのだという迷信がいつしか生まれ、「久松留守」のお札を風邪除けにするという風習が生まれたものです。
読書会では『シナ・日本風物誌』から「春」の後半と「人魚」を紹介しました。「春」において、モラエスは神戸の布引の滝が上流のダム建設により、大きく変化したことを書いています。また「人魚」は日本の昔話を少し脚色して紹介しています。人魚に関する昔話といえば、若狭の八百比丘尼をモチーフとしたものが一般的ですが、ここでは「鶴の恩返し」とそっくりの内容で、鶴を人魚に置き換えた話です。この作品は、モラエスの全作品の中でも、他に例がないほど浮かれた調子の文章で書かれています。これを書いた時、モラエスはどのような心境だったのか興味が持たれます。
2 ) 次回開催予定
※お車でお越しになる場合,駐車場(工学部の正門ゲートを通って図書館南側駐車場)が利用可能ですが,できるだけ公共の交通機関をご利用ください。なお,ゲートに守衛さんが不在の時には,インターホンで来意をお告げください。
参 加 費: 無料(申し込み不要)
読書会の内容:資料はその場で配布予定です。