モラエス著『日本通信』について
ブログではご案内しませんでしたが、2022年11月5日に研究会を開催しました。
今回から読書会のテキストが『日本通信』に変わりました。
『日本通信』は、ポルトガル第二の都市ポルトの新聞『ポルト商報』の編集長ベント・カルケージャに依頼されて「日本通信」として書き送った記事です。神戸で外交官をしていた時期に書かれたもので、1902年4月8日にスタートし、最後の通信は1913年1月28日と10年以上続きました。これらの記事は書籍化され、全部で6冊発行されました。
徳島に移ってからは、カルケージャに依頼されて徳島での印象記を送るようになり、後に『徳島の盆踊り』としてまとめられることになります。
さて、『日本通信』の最初の記事は、1902年に結ばれた日英同盟に関する記事です。要約するとこんな感じです。
・日本では3ヶ月前に結ばれた日英同盟をめぐって盛んに議論が行われている。
・2年前に清で起こった義和団の乱に乗じて、ロシアが清に居座り、朝鮮にも手を伸ばそうとしているので、このような議論が巻き起こるのは当然である。
・これについて議論する際に、露仏同盟についても考慮しておかなければならないが、正しく判断することは難しい。
・国のメンツも大事だが、軍事費が国家の財政を圧迫することも考えなければならない。
・この30年で目覚ましい発展をなしとげ、大国の一員となろうとしているが、その道を進むべきである。
モラエスが日英同盟を日本にとって良い選択であると捉えていることが分かります。そしてこの2年後には日露先生が起きますが、日英同盟を結んでいたことが活きることになります。研究会では日本がなぜイギリスと軍事同盟を結んだのか当時の世界情勢について解説しました。
研究会開催ご案内
次回の研究会・読書会は下記の日時で開催いたしますので、奮ってご参加ください。
コロナ以前は、7月の研究会の後で暑気払いを行っていました。しかし、依然としてコロナは収束せず、むしろ感染者が増え始めていて第7波到来かとも噂される状況であり、大学で会食ができません。早くコロナ前の状態に戻ってほしいものです。
研究会例会・読書会:
日 時: 令和4年12月17日(土) 10時30分~12時
場 所: 徳島大学総合科学部1号館・中棟3階・社会創生学科ゼミ室2
会場が普段開催している部屋と異なるので注意してください。建物は同じです。