いつものように更新がすっかり遅くなってしまいましたが,6月7日に予定通り例会・読書会を開きました。
「敦盛の墓」では,源平合戦の一ノ谷の合戦での,熊谷直実と平敦盛の話が出てきます。日本人のわれわれでしたら,ある程度その話はわかりますが(最近はそうともいえないかもしれません),そうした内容がポルトガルの読者にどの程度わかったのだろうかという素朴な疑問が生じます。「大和」は'Yamato'ですし,どのくらいの知識が当時のポルトガルのモラエスの文章を読む人たちの日本についての基礎知識としてあったのか,興味深いものがあります。今は盛んに「グローバル」ということが叫ばれていますが,私たちがポルトガルという国を含め,どの程度世界のことを知っているのか,逆に,世界の人たちがどの程度日本のことを知っているのか,そのあたりをしっかり認識しなくてはならないでしょう。
「笑ったり泣いたり」では,孤独という言葉が出てきます。「孤独」ということについては,これまでにも触れたことのあるオランウータンの挿絵などがモラエスの心境を表していると考えていいでしょうが,「孤独」ということを見つめ続けて「家族とは人類である。否,それ以上のものである。家族とは万物,新羅万象である」と書き記したモラエスの境地を考えてみる必要があります。
『およねとコハル』はもう少しで読み終えることができますので,もうしばらくお付き合いのほどお願いしたいと存じます。この次には,岡村多希子先生が文庫版の『日本精神』を刊行されていますので,終わり次第そちらに移りたいと考えています。
読書会は,これまでと同様に,行きつ戻りつしながら,作品を楽しみつつ,昔の様子や,当時の記憶などを留めていきたいと思いますので,関連して,「昔ここはこうだった,あそこはああだった」とか,どんなことでも結構ですので,いろんな情報や話題をご提供くだされば大変ありがたく存じます。研究例会・読書会はいつも公開で,モラエスに興味や関心がおありの方,あるいは徳島の魅力再発見をお考えの方など,自由にお気軽に参加していただくことを考えて開いておりますので,若い方々,昔の徳島の姿をご記憶の方々の参加をお待ちしております。
次回の例会・読書会ですが,いろいろな予定が詰まっており変則的になって申し訳ありませんが以下の日程を予定しております。
研究会例会・読書会:
日 時: 平成26年7月26(土) 10時30分〜12時
場 所: 徳島大学総合科学部1号館南棟3階 第1会議室
(徳島市南常三島町1−1)
※お車でお越しになる場合,駐車場(工学部の正門ゲートを通って図書館南側駐車場)が利用可能ですが,できるだけ公共の交通機関をご利用ください。なお,ゲートに守衛さんが不在の時には,インターホンで来意をお告げください。
参 加 費: 無料(申し込み不要)
お問い合わせ先:
徳島大学総合科学部 宮崎隆義
電話番号 656−7131
メールアドレス:miyazaki@ias.tokushima-u.ac.jp
読書会の内容:
『おヨネとコハル』
(岡村多希子訳,彩流社,2000円+税)