徳島大学総合科学部モラエス研究会

徳島大学総合科学部モラエス研究会の活動記録

モラエスに関する論文 & 次回研究会のご案内

モラエスに関する論文

 

 令和4年度徳島大学総合科学部創生研究プロジェクトによる報告書「異文化から照らし出された四国~地域における外国人受容の意義についての歴史的考察~」が刊行されました。

 以前、このブログにモラエスの友人であった倉本清一氏のことを書きましたが、それを論文にまとめたものが報告書に含まれています。下記のURLをクリックすると論文を閲覧・ダウンロードすることができますので、ご一読いただければ幸いです。

 

・佐藤征弥「モラエスの趣味を通じた友人倉本清一と彼が残したモラエス忌の寄せ書きについて」

https://repo.lib.tokushima-u.ac.jp/118116

 

 

また、この報告書には、総合科学部の河田先生と荒武先生もモラエスに関する論文を書かれておりますので、併せてお読みください。

 

・河田和子「モラエス受容における正宗白鳥志賀直哉 : 日本の文学者におけるモラエス受容(3)」

https://repo.lib.tokushima-u.ac.jp/ja/search/p/523/item/118117?include_file=exclude&sort=id

 

・荒武達朗 「”在台2世”文学者新垣宏一の見た徳島のモラエス

https://repo.lib.tokushima-u.ac.jp/118115

 

 

 モラエスとは関係ありませんが、報告書に含まれている他の論文についても紹介しておきます。いずれもとても面白い内容ですので、徳島、四国の歴史に関心のある方はご一読ください。

 

・井戸慶治「徳島・板東俘虜収容所における日本人向け音楽会(続)」

https://repo.lib.tokushima-u.ac.jp/ja/search/p/523/item/118113?include_file=exclude&sort=id

                    

・依岡隆児「終戦前後の旧制高校と青春―四国のケーティを中心に」

https://repo.lib.tokushima-u.ac.jp/ja/search/p/523/item/118114?include_file=exclude&sort=id

 

 

研究会開催ご案内

 次回の研究会・読書会は下記の日時で開催いたしますので、奮ってご参加ください。

 会場は、通常開催しているゼミ室6です。

 

研究会例会・読書会

日   時: 令和5年月27日(土) 10時30分~12時

場   所: 徳島大学総合科学部1号館・南棟3階・ゼミ室6

      (下のキャンパスマップの赤丸で示した場所です)

※お車でお越しになる場合,駐車場(工学部の正門ゲートを通って図書館南側駐車場)が利用可能ですが,できるだけ公共の交通機関をご利用ください。なお,ゲートに守衛さんが不在の時には,インターホンで来意をお告げください。

 

参 加 費: 無料(申し込み不要)

読書会の内容:資料はその場で配布予定です。

   

 

お問い合わせ先:

徳島大学大学院社会産業理工学研究部

佐藤 征弥

電話:088-656-7222

メールアドレス:satoh.masaya@tokushima-u.ac.jp

日本の博覧会への出店勧誘の記事 & 次回研究会開催のご案内

第五回内国勧業博覧会の勧誘

読書会ではモラエスの『日本通信 I』をテキストにしていますが、これはポルトガル第二の都市ポルトの新聞『ポルト商報』に定期的に寄稿した記事をまとめたものです。

モラエス1903年(明治36年) に大阪で開催された第五回内国勧業博覧会ポルトガルから参加するよう何度も呼びかけていますが、今回の読書会で紹介した記事では、次のように日本を宣伝します。

 

当地の物産の、無数の美術的な製品の展示品を購入できる人だけが、ここに来ることを望む。それらの品がリスボン市やポルト市で熱狂的な歓迎を受けるだろうことは、充分に明白なことであるし、業者はその事情を認識することによって、将来当地に注文する好機会が得られるだろうからだ。」

 

ところで、その人物は展示品のトランクと一緒に自己の体験から得た知識をひっさげて、それに当地に魅せられた心も少しいだいて、なつかしの故国に帰るであろう。ポルトガルの通商上に大きい利益を得たことになるだろうし、日本が決して想像したような夢の国でなく、ひどく大勢の仏教信者がたむろしていて、日本人に近寄ろうとする無法者の首をはねるために刀を帯びているのではないと、友人に話すにきまっている。

 事実、三百年余り前には、われわれの多くがこの運命にあった。しかし、最初にやって来たメンデス・ピントは愛想よく迎えられたし、使徒シャヴィエルは日本のことを好感のもてる国と言っていた。

 冗談はお許し願うとして、それが事実である。

 

日本の美術工芸品がポルトガルでも受けいられるであろうこと、そして日本人での滞在は良い経験になるだろうと述べています。

 

研究会開催ご案内

 次回の研究会・読書会は下記の日時で開催いたしますので、奮ってご参加ください。

 会場は、通常開催しているゼミ室6です。

 

研究会例会・読書会

日   時: 令和5年月18日(土) 10時30分~12時

場   所: 徳島大学総合科学部1号館・南棟3階・ゼミ室6

      (下のキャンパスマップの赤丸で示した場所です)

※お車でお越しになる場合,駐車場(工学部の正門ゲートを通って図書館南側駐車場)が利用可能ですが,できるだけ公共の交通機関をご利用ください。なお,ゲートに守衛さんが不在の時には,インターホンで来意をお告げください。

 

参 加 費: 無料(申し込み不要)

読書会の内容:資料はその場で配布予定です。

   

 

お問い合わせ先:

徳島大学大学院社会産業理工学研究部

佐藤 征弥

電話:088-656-7222

メールアドレス:satoh.masaya@tokushima-u.ac.jp

2/18(土)の研究会の会場を変更します

2/18(月)に予定している研究会ですが、周囲の建物の工事により騒音が発生するおそれがあるため、会場を変更いたします。

 

建物は同じで、教室の位置が異なります。下の地図に示した会場となります。宜しくお願いいたします。

 

研究会例会・読書会

日   時: 令和5年月18日(土) 10時30分~12時

場   所: 徳島大学総合科学部1号館・北棟3階・ゼミ室2

      (下のキャンパスマップの赤丸で示した場所です)

※お車でお越しになる場合,駐車場(工学部の正門ゲートを通って図書館南側駐車場)が利用可能ですが,できるだけ公共の交通機関をご利用ください。なお,ゲートに守衛さんが不在の時には,インターホンで来意をお告げください。

 

参 加 費: 無料(申し込み不要)

読書会の内容:資料はその場で配布予定です。

   

 

お問い合わせ先:

徳島大学大学院社会産業理工学研究部

佐藤 征弥

電話:088-656-7222

メールアドレス:satoh.masaya@tokushima-u.ac.jp

海外からの研究者 & 次回研究会のご案内

海外からモラエス研究者が訪問

 2023年がスタートしました。本年も宜しくお願いいたします。

 さて、正月の1月2日から1月4日まで、André Bernardo氏がモラエスの研究のため徳島に来られました。Bernardo氏はポルトガルリスボン出身で、スペインのVigo大学の博士課程に在籍していて、現在はティモールで調査研究をしているそうですジェンダーからの視点でモラエスの作品を捉えて、ヨーロッパとアジアの比較研究を行うということでした。今年中に博士論文を書く予定だそうですが、どのような内容になるか楽しみです。

 3日は彼にモラエスゆかりの地を案内しましたが、絶好の天気に恵まれ、眉山山頂からの眺めが最高でした。

潮音寺のモラエスの墓の前にて

新町小学校のモラエス像にて

眉山の山頂にて

 

研究会開催ご案内

 次回の研究会・読書会は下記の日時で開催いたしますので、奮ってご参加ください。

 会場は、通常開催しているゼミ室6です。

 

研究会例会・読書会

日   時: 令和5年月18日(土) 10時30分~12時

場   所: 徳島大学総合科学部1号館・南棟3階・ゼミ室6

      (下のキャンパスマップの赤丸で示した場所です)

※お車でお越しになる場合,駐車場(工学部の正門ゲートを通って図書館南側駐車場)が利用可能ですが,できるだけ公共の交通機関をご利用ください。なお,ゲートに守衛さんが不在の時には,インターホンで来意をお告げください。

 

参 加 費: 無料(申し込み不要)

読書会の内容:資料はその場で配布予定です。

   

 

お問い合わせ先:

徳島大学大学院社会産業理工学研究部

佐藤 征弥

電話:088-656-7222

メールアドレス:satoh.masaya@tokushima-u.ac.jp

モラエスの趣味を通じた友人

12/17(土)に研究会を開催しました。

あまり更新しない当ブログですが、モラエスについて関心を持たれた方がネットを調べてこのブログにたどり着き、今回の研究会に参加されました。おろそかにせず、情報更新に努めていきたいと思います。

また、研究会開催についての情報を載せるだけでなく、モラエスの魅力を伝えることもブログを通じてやっていきたいと思います。

 

モラエスと趣味を通じた友人 倉本清一のこと

今回の研究会では、倉本清一という人物について報告しました。

倉本清一のことを知ったのは、何年も前に『モラエス案内』を読んでいて、次の文章を見つけた時でした。

 

 

生前のモ翁と音楽、絵画、演劇などの趣味を通じて親しく交際していた倉本清一氏(五七才)は、百年祭にモラエスの劇「浮かれモラエス」の主人公モラエスにふんして上演する予定で、準備を進めておられたが、さる五月二十九日心臓マヒのため急逝された。百年祭を前に、モ翁の肖像をかきあげ、翁をしのぶ放送座談会中に倒れられたもので、絶筆となった。肖像画は百年祭を記念展覧会に出品されることになっていますが、ここにつつしんで哀悼の意を捧げます。

徳島県立図書館編集発行『モラエス案内』.1955.

 

 

 これまで、徳島においてモラエスが誰かと趣味を通じた交友関係を結んでいたことは知られていませんでした。倉本清一についても、モラエスの著作の翻訳者でモラエス研究家の花野富三をはじめとして、モラエスの知人から彼の名前が出てくることはほとんどありませんでした。何者かわからず、ずっと気になっていたのですが、2022年になって倉本清一の親族の方が、上記『モラエス案内』に記されているモラエス肖像画がしまってあったのを発見しました。肖像画は、モラエス忌の合わせて描かれたもので、絵の周りにはモラエス忌の参加者の寄せ書きが書かれています。これを掛け軸にして保管してあったのです。しかもこの年のものだけでなく、その前の3年間についても同様の掛け軸がありました。これらの掛け軸は、親族の方から徳島日本ポルトガル協会に寄贈されました。

倉本清一が描いたモラエス像と寄せ書き(S30)

 先日、親族の方の家を訪ねて、倉本清一とモラエスがどのような交流をしていたのかお話をきくことができました。お話の内容は、近いうちに詳しく論文にまとめる予定ですが、あらましをここに記しておきます。

 

倉本清一は、西船場1丁目の新町橋近くで船具商を営んでいた家に生まれ、家業を継ぎました。一方で進取の気性に富んでいた彼は、大正10年に徳島で最初の百貨店を作り、人々を驚かせました。また、昭和10年に映画館(松竹座)を設立し、大繁盛しました。彼はまた多趣味で、ダンスや乗馬をたしなんだり、絵や工作も好んでいました。本職の画家ではありませんでしたが、徳島で最初に漫画の個展を開いた人物だそうです。

 清一がモラエスと知り合うようになったのは清一が20代後半の頃とのことでした。モラエスが70才を超えていますので、ずいぶん歳の離れた友人関係ですが、二人とも気にしていなかったのかもしれませんね。モラエスは、ポルトガルの家族や友人と頻繁に手紙のやりとりしていましたので、郵便局にいく道すがら、清一の店の前を通るので、通りすがりに話をするようになったそうです。清一はモラエスにでんちゅうなど衣類や食事を渡したりしていたそうです。

 

 モラエスと倉本清一の交友については、モラエス研究において見過ごされてきましたが、今回の寄せ書きの発見により、モラエスの新たが一面がわかったというとで大きな発見だと思います。

 

次回の研究会

 次回の研究会例会は、2023年2月18日(土)を予定しています。期日が近づきましたら、あらためてご案内いたします。

『日本通信』について、そして次回研究会のご案内(12/17(土))

モラエス著『日本通信』について

 ブログではご案内しませんでしたが、2022年11月5日に研究会を開催しました。

 今回から読書会のテキストが『日本通信』に変わりました。

 『日本通信』は、ポルトガル第二の都市ポルトの新聞『ポルト商報』の編集長ベント・カルケージャに依頼されて「日本通信」として書き送った記事です。神戸で外交官をしていた時期に書かれたもので、1902年4月8日にスタートし、最後の通信は1913年1月28日と10年以上続きました。これらの記事は書籍化され、全部で6冊発行されました。

 徳島に移ってからは、カルケージャに依頼されて徳島での印象記を送るようになり、後に『徳島の盆踊り』としてまとめられることになります。

 

 さて、『日本通信』の最初の記事は、1902年に結ばれた日英同盟に関する記事です。要約するとこんな感じです。

 

・日本では3ヶ月前に結ばれた日英同盟をめぐって盛んに議論が行われている。

・2年前に清で起こった義和団の乱に乗じて、ロシアが清に居座り、朝鮮にも手を伸ばそうとしているので、このような議論が巻き起こるのは当然である。

・これについて議論する際に、露仏同盟についても考慮しておかなければならないが、正しく判断することは難しい。

・国のメンツも大事だが、軍事費が国家の財政を圧迫することも考えなければならない。

・この30年で目覚ましい発展をなしとげ、大国の一員となろうとしているが、その道を進むべきである。

 

 モラエス日英同盟を日本にとって良い選択であると捉えていることが分かります。そしてこの2年後には日露先生が起きますが、日英同盟を結んでいたことが活きることになります。研究会では日本がなぜイギリスと軍事同盟を結んだのか当時の世界情勢について解説しました。

  

研究会開催ご案内

 次回の研究会・読書会は下記の日時で開催いたしますので、奮ってご参加ください。

 コロナ以前は、7月の研究会の後で暑気払いを行っていました。しかし、依然としてコロナは収束せず、むしろ感染者が増え始めていて第7波到来かとも噂される状況であり、大学で会食ができません。早くコロナ前の状態に戻ってほしいものです。

 

研究会例会・読書会

日   時: 令和4年1217日(土) 10時30分~12時

場   所: 徳島大学総合科学部1号館・中棟3階・社会創生学科ゼミ室2 

 

会場が普段開催している部屋と異なるので注意してください。建物は同じです。

 

 

緊急告知:7/23(土)の研究会・読書会中止のお知らせ

コロナウイルス感染拡大のため、7月23日(土)に予定していた研究会・読書会は、中止いたします。ご参加を予定されていた皆様には、大変申し訳ありません。心よりお詫び申し上げます。

 また、直前の連絡となりましたことを、重ねてお詫び申し上げます。