今回も更新が遅れてしまいましたが,3月3日に予定通り例会・読書会を開きました。
前に問題となっておりました,モラエスが書き留めている「ホタルコイ」の歌ですが,やっとそれらしいものが見つかりました。研究会にいらしている方々はたまたまご存じなかったようですが,文献としては一応記録にあるようです。例によって佐藤先生が精力的に調べて下さいましたが,『阿波ノ民謡』(広瀬志津雄,小山助学館,昭和11年)に,「螢」と題して,
螢こい,螢こい
あんどんのかげから
かくれてこい
螢こい,田の虫こい
ほつちの水は,苦いぞ
こつちの水は,甘いぞ
甘い水をのみにこい
というものです。私が見つけた他の文献にも,よく知られている歌詞の変形として,上のようなものもあるとの記述が見つかりましたが,どのあたりで歌われていたのかとかは曖昧でした。こういう歌や伝承などは,伝承者による記録が根拠となるのでしょうが,移ろいゆくものを留めることの難しさに思いが至ります。歌ともなるとまたメロディも重要でしょうが,さらに困難なことになるでしょう。
今回の例会は,「日本の三人心中」から,「自殺,殉死,心中」についてを話題にいたしました。自殺の近年の統計から,どうもモラエスが書いているように日本だけが特異なわけではありませんが,どちらかというと陽気なお国柄と思われる国々ではやはり比較的少ないようです。しかし,要因はいろいろあって複雑なようです。
作品のタイトルにある「心中」にまでは至りませんでしたが,これも文献を調べてみると大変興味深いものです。「曾根崎心中」への言及がありますが,これも当時の状況を調べてみますといろいろな面が浮かび上がってきます。その辺りをいずれまたまとめてみたいと考えております。
次回の研究例会・読書会もまた変則的ではありますが,4月28日(土)を予定しております。
研究例会・読書会
日時:平成24年4月28日(土) 10時30分〜12時
場所:徳島大学総合科学部1号館1階・玄関北 「地域交流プラザ」
※お車でおいでの際には,工学部正門のゲートより入られて,図書館南側の駐車場に駐車いただきますようお願いいたします。ゲートに守衛さんが不在の場合は,インターホンを押して来意をお告げください。
問い合わせ先: 宮崎隆義
電話:088-656-7131
E-mail: miyazaki@ias.tokushima-u.ac.jp