徳島大学総合科学部モラエス研究会

徳島大学総合科学部モラエス研究会の活動記録

【モラエス研究会例会・読書会3月25日】

新年度となり,待ちわびた桜の花も一気に満開の様子です。天気に恵まれないのが残念で気温の変動が激しいですが,皆様ご健勝のことと存じます。

読書会では,『日本精神』のほぼ最終となりますが,「補遺 日本の教育(1)」を取り上げ,4月の例会・読書会で『日本精神』をひとまず終わりとしたいと考えております。その後は,花野富蔵の『定本モラエス全集』を第1巻から少しずつ読んでいこうと考えています。資料は今後読書会の際にその都度配布の予定です。

映画『恋の浮島』がDVDになって手軽に見ることができるようになり,昨年は映画の鑑賞会と大竹洋子氏によるお話と解説を行いましたが,実は,徳島で映画が先行公開されたときに,「恋の浮島」という歌も作られたそうです。この例会では,作詞者作曲者の了解を得まして,「恋の浮島」という歌を,徳島のファディストでもある神野喜美さんによって披露していただきました。

   
   

また,『「モラエス顕彰による地方創生プロジェクト」論集』第3号のご披露並びに配布をいたしました。原稿をお寄せいただいた皆様方には心より感謝申し上げます。


   

さらにまた,徳島県兵庫県が「鳴門の渦潮」の世界遺産登録に向けて,「『鳴門の渦潮』世界遺産登録学術調査検討委員会」を立ち上げ,徳島県側では,「鳴門の渦潮」の文化的側面について調査検討を進めており,このたび「『鳴門の渦潮』世界遺産登録学術調査報告書〜文化編〜」が3月末に刊行されました。この中で,モラエスが「鳴門の渦潮」を見に行ったということが,『徳島の盆踊り』に書かれているので,私宮崎が学術調査委員会に加えられ,これまで2回ほど委員会で報告をし,それをさらに報告書としてまとめております。「鳴門の渦潮」を見に行った,というだけでは中身がありませんので,モラエスがそれを日本の風景として見ていることから,風景論の観点から調査論考してみました。長崎から神戸,横浜に至るときに,船上から瀬戸内海の風景を描いていて,その見方の根底には西洋の風景の概念がうかがえ,同時にモラエスの東洋や日本へのあこがれ心酔もうかがえます。さらにその当時,もうすでに瀬戸内海や鳴門海峡を含む淡路島周辺の海図が外国によって作成されていたということにも少々驚かされます。その点については,同僚であるモートン常慈(David Moreton)氏が,「西洋人の目からみた『鳴門の渦潮』」として,当時のパンフレットや地図などを紹介されており,イギリス海軍が作成していた海図も委員会で披露されました。モラエスポルトガル海軍の軍人ですから,ひょっとしてそうした海図を目にしていたかもしれません。興味は尽きません。


   



読書会は,これまでと同様に,行きつ戻りつしながら,作品を楽しみつつ,昔の様子や,当時の記憶などを留めていきたいと思います。関連して,「昔ここはこうだった,あそこはああだった」とか,どんなことでも結構ですので,いろんな情報や話題をお気軽にご提供くだされば大変ありがたく存じます。研究例会・読書会はいつも公開で,モラエスに興味や関心がおありの方,あるいは徳島の魅力再発見をお考えの方など,自由にお気軽に参加していただくことを考えて開いておりますので,若い方々,昔の徳島の姿をご記憶の方々の参加をお待ちしております。
例会・読書会の案内は,この研究会のブログ(http://d.hatena.ne.jp/iasmoraes/)や徳島大学総合科学部のホームページ(http://www.tokushima-u.ac.jp/ias/)にも掲載しておりますので,そちらもご覧いただけましたら幸いです。                             




研究会例会・読書会:
日   時: 平成29年4月22日(土) 10時30分〜12時場   所: 徳島大学総合科学部1号館南棟3階 第1会議室       (徳島市南常三島町1−1)
※お車でお越しになる場合,駐車場(工学部の正門ゲートを通って図書館南側駐車場)が利用可能ですが,できるだけ公共の交通機関をご利用ください。
なお,ゲートに守衛さんが不在の時には,インターホンで来意をお告げください。
参 加 費: 無料(申し込み不要)
読書会の内容:
『日本精神』(文庫版:徳島日本ポルトガル協会)
(岡村多希子訳,500円)
※本については,訳者の岡村多希子先生,並びに徳島日本ポルトガル協会のご厚意とご協力でご提供させていただいております。

   
※なお,この3月末で退職されました石川榮作先生を労う会を,当日の夕刻18時より,阿波観光ホテルで予定しております。


お問い合わせ先:
徳島大学教養教育院
宮崎隆義
電話: 088−656−7131
メールアドレス:
miyazaki.takayoshi@tokushima-u.ac.jp