徳島大学総合科学部モラエス研究会

徳島大学総合科学部モラエス研究会の活動記録

【モラエス研究会例会・読書会7月30日】

【モラエス研究会例会・読書会7月30日】

7月30日に予定通り例会を開きました。
暑い日ではありましたが,おいでいただきました皆様には感謝申し上げます。

『おヨネとコハル』にエピグラフとして掲げられているピエール・ロチの『北京の昨今』(Les derniers jours de Pékin)からの引用は,大変興味深いものです。
ロチの原文では"«La Littérature de l'avenir sera la littérature de la pitié.»とあり,'la littérature de la pitié'を,モラエスポルトガル語訳として'a litteratura da peindade'としています。これを日本語に翻訳するにあたって,花野富蔵氏は「敬慕の文学」(『おヨネと小春』(昭森社昭和11年)),「慈悲の文学」『モラエス全集』(集英社,昭和44年)としており,後の佃実夫氏は「敬慕の文学」,さらに岡村多希子氏は「敬愛の文学」と,訳されています。
翻訳の面白さと同時に難しさが忍ばれますが,モラエスの受け止め方というものを,彼の最晩年の生き方から考えると,いろんなことが想像できそうです。また,そこに,『おヨネとコハル』の作品が持つ本質が当然あることでしょう。作品のそれぞれの章というか,小品が,いろんな知友に捧げられていることとも,「夢と追慕に生きている哀愁の病気にかかっている」私たちにとって,なにか与えてくれるものがあるにちがいありません。

この作品もまた,皆様と行きつ戻りつしながら,いろんなものを発見してゆけたらと思います。

昨年の7月31日に,この研究会を発足いたしました。1年が巡りました。
この徳島の地で,そして今の時代にモラエスの書いたものを読むということが,変化に囚われ新しいものを求めてやまない私たちの,実は決して変わることのない心の闇に,何かしら光と支えを投げかけてくれるのかもしれません。
今年もできれば,講演会やその他,イベント的なものを交えながら続けていきたいと思います。



次回も暑い中ですが,8月27日(土)を予定しております。 

   

研究例会・読書会
日時:平成23年8月27日(土) 10時30分〜12時
場所:徳島大学総合科学部1号館南棟3階 第1会議室
   (徳島市南常三島町1-1)
   ※お車でおいでの際には,工学部正門のゲートより入られて,図書館南側の駐車場に駐車いただきますようお願いいたします。ゲートに守衛さんが不在の場合は,インターホンを押して来意をお告げください。
問い合わせ先: 宮崎隆義
        電話:088-656-7131
        E-mail: miyazaki@ias.tokushima-u.ac.jp